UUUM TIMES 増刊号〜夕闇に誘いし漆黒の天使達オンラインライブレポート〜

2020/10/31 TOPICS EVENT MUSIC

クリエイター

夕闇に誘いし漆黒の天使達

「お前らとの距離は０ｍだと思え！全員が最前列だ!!」

10月17日、夕闇に誘いし漆黒の天使達が自身初の無観客配信ライブとなる『俺たちの距離が２mになっても心の距離は０mだぜ』を開催。新型コロナの影響で３月以降、ライブ活動が行えていなかった彼ら。配信ライブの開催を発表したYouTubeでは「（ライブが出来ないことは）バンドマンにとって死んだも同然！」と配信ライブ開催を決意した心境を語り、「（配信ライブが）全然ダメだったら、もう一生やらない」などと言ってた彼らだったが、ふとした表情や息遣いまで見逃すことのない全員最前列の特等席、画面越しにも熱気が伝わってくる熱い歌と演奏、楽曲やパフォーマンスをより効果的に見せる映像やLEDを使った演出など、初の配信ライブはバンドの魅力と配信ならではの面白さを存分に味わうことの出来る充実の内容となった。

ライブ活動を半年ぶりに再始動すべく、SEが鳴りステージに登場した小柳（Vo）がカメラに向かって叫び、シャウト一発で画面の前の観客との距離を一気に縮める！挨拶がてらステージに立てることの喜びと健康をラウドに鳴らした「We are 健康人間」で配信ライブの幕が開く。ミスター千葉（Gt）も視聴者に熱く掛け声を煽り「おい！おい！」とコメントを返す観客との距離を縮めると、「I want to change the band name.」では、小柳の「シンガロングはコメントで書き込んで下さい！」の呼びかけにコメント欄から溢れるほどのシンガロングが起きる。さらに最新型の寿司屋・リモート寿司の映像で笑わせた「SUSHI SONG」、歌詞と連動した映像が楽曲の理解や面白さを増した「はたらく君に贈る歌」と続き、配信ならではのノリや盛り上がりを増幅していくと、「超次元お助けアンドロイド」では小柳が「ヤバい、部屋に忘れ物しちゃって。友達にワープホール作ってもらったから、取りに行ってくるわ！」と、演奏中にステージからいなくなるという自由っぷりで笑わせる。ボーカル不在のステージでたくましいギタープレイを見せる千葉、力強く正確なビートで支えるにっち（Dr）、巧みなプレイで魅せたともやん（Ba）が演奏スキルの高さをしっかり見せたつけたところで小柳が帰還。なぜか会場まで付いてきた空き巣に「なんでやねん！」とツッコみ、「なんでやねん」に曲が繋がる構成の妙とバカバカしさも抜群だった。

曲紹介代わりのコントVTRで始まり、ジャスティスマンが正義を問う「正義の味方「ジャスティスマン」」に続いて始まったVTRでは、“小柳ギターボーカリストへの道”と題したチャレンジ企画が流れる。この日のライブに向けて、１ヶ月前にギターを購入した小柳。技術のみならず、カッコ良く曲に入るMCやギターボーカルとしての振る舞いをメンバーやバンド仲間から教わり、いざ本番へ。思い切りカッコ付けたMCで「みんなの前でライブ出来なくなってさ、コミックバンドに心から向き合えた。そう思ってんだよ」と、冗談とも本気とも取れる曲紹介から始まった曲は「コミックバンドとして」。たっぷり気持ちを込めた小柳のギターの弾き語りからバンド演奏が重なると、音と一緒にメンバーの気持ちも楽曲に重なり、歌と演奏がエモーショナルに響く。続いて「新曲です！」と披露したアップチューン「チャージする」が空気を変えると、楽器を置いてステージ前方に並んだ４人。美しいピアノイントロで始まった曲は「３兆回目のアイラブユー」。身振り手振りも付けて本気でラブソングを歌う姿が最初こそ可笑しく見えたが、真剣な表情で声を重ねて手を振り合せる４人の姿に思わずグッと来てしまった。

「ちゃんと弾けました！楽しく思い込めて演れました」と、小柳がチャレンジ企画の感想を満足そうに語ったMCから、「打ち上げにはピザを食ってやろうかと思って」と「君に届かない声はイタリアにも届かない、故にミラノ風」が始まるとライブは早くも終盤戦。ラウドな演奏に熱くなり部屋で拳を握ってると、観る者の気持ちを察したかのように「画面の前のみんなの声を聞かせて下さい！」と小柳が煽る。突き上げるビートに踊り狂うフロアの観客が見えた気がした「ウォウウォウイェイイェイ酒ナイト」では、「真面目に観んなよ！全員で踊るぞ!!」と再びメンバーがステージ前方に並び、♪ウォウウォウイェ～！と振り付けを合せる。さらに＜散々みたこの景色が来年もあるとは限らないのさ＞と生のライブも見れない現状と重なる歌詞にドキッとさせながら、「だから今、ブチ上がるんだよ！」と言わんばかりに＜ブチ上がる季節はなんでもいい！＞とテンションを上げてくれた「スプリングサマーオータムウィンターチューン」と続きクライマックスを生む。画面越しにも熱気が伝わってくる４人の熱演と、熱を帯びたコメントからも分かる画面の前の視聴者の興奮。同じ空間にいなくても互いが見えているかのように分かり合い、繋がってるようなこの感覚こそ、まさに心の距離０m！離れていても音楽でしっかり通じ会えることを、夕闇は証明してくれた。

「蛍の光」がBGMに流れるラストMCでは「あっという間だったな、準備期間から今までマジで秒だった！」と名残惜しそうに語り、「もう絶対やらないでおこうと思ったけど、ここまでやるとやりたいね」とこの日の手応えを語った小柳。「今日も超楽しいと思うけど、みんな不完全燃焼だと思うから！ライブが出来るようになった時に爆発出来るように溜めておいて下さい」と告げると、「猫サンキュー」～「30秒間以上手を洗わないとウィルスは除去出来ない」とファスト・ナンバーで一気に駆け抜けてフィニッシュ。終演後のVTRで「夕闇、来年2021年春にアルバムを出すって！情勢次第で」とさらっと重大発表をして、ファンにほんのりと希望を灯して終わるラストも彼ららしかった。